仮想通貨はブロックチェーン技術を使用することで、安全かつ公正な新しいお金の仕組み通称「フィンテック」として注目を集めました。
セキュリティレベルの高さが特徴の仮想通貨ですが「51%攻撃」というシステムの穴を突いた攻撃が可能になっています。
今回はこの「51%攻撃」とは何なのか、またその被害を受けやすい通貨や攻撃コストを見ることの出来るサイト「51Crypto」について紹介します。
※あくまでも投資情報として利用して下さい。当サイトは51%攻撃を推奨するために情報提供しているものではありません。
51%攻撃とは
51%攻撃の説明をする前に、まず仮想通貨やビットコインの取引の仕組みについておさらいしましょう。
仮想通貨の仕組みについて
仮想通貨には取引を行うネットワークを維持するために主に2種類の方式が使われています。
それは「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」と「PoS(プルーフ・オブ・ステーク)」です。
PoWとはパソコンや専用の機材を使用した処理能力で複雑な計算を行い、ネットワークを支える仕組みです。
ビットコインやライトコインなど古くからある仮想通貨にはこの方式が多く採用されています。
PoSとはウォレットに通貨を預け入れておくだけでネットワークを支える仕組みです。
2015年以降などに登場した比較的新しい通貨に採用されています。
ネットワークを支える行為のことを「マイニング」と呼び、それをすることで報酬としてその通貨を貰うことが出来ます。
PoWでは「○枚」や全体発行枚数の「○%」という配布枚数で、PoSは「年利○%」という数量で一定周期で配布されます。
要するにどちらも、ネットワークをマイニングで支えてくれたら報酬に通貨をあげるよ!というわけですね。
「51%攻撃」はPoW方式を採用した通貨が攻撃対象となっています。
ここまで一度おさらいしておきましょう。
- 仮想通貨はPoWとPoSの2種類のシステムがある
- ネットワークを維持する行為をマイニングと呼ぶ
- 51%攻撃はPoW通貨が対象
PoW方式の取引処理の流れについて
51%攻撃とはPoW方式を採用している通貨が対象となっています。
ここでPoWの仕組みについてもう少し深く掘り下げましょう。
PoWはマイニングをする複数のマイナーたちがパソコン(厳密にはCPU)などに難しい計算をさせて、一番最初にその計算が解けた人が報酬を得る権利と取引の承認を行う事になります。
例えば、Aさんがビットコインを使ってBさんに送金した際に、難しい計算問題が発行されます。
それを10人の人(実際はもっと多い)が一斉に問題を解き始め、最初に答えを出せた人にご褒美としてビットコインをあげます。
- AさんがBさんに送金を行う
- 難しい計算問題が発行される
- マイナーたちが競争して計算する
- 問題を解いた人が報酬を貰い取引承認をする
- 他の参加者は不正が無いか検証する
答えを出せたら、送金完了!というわけではなく、他のネットワークに参加しているマイナーたちもそれが正しい送金なのか検証を行います。
他の人が検証を行うというところが今回の51%攻撃でとても重要なポイントです。
51%攻撃はどのように行われるのか
51%攻撃とは他の人が取引の検証を行う仕組み(PoW)を悪用した攻撃方法です。
先述したとおり、マイニング競争に参加した人同士で報酬の取り合いと検証を行うのですが、この競争に悪意のあるメンバーが51%(過半数)を超えた際に起きる問題が「51%攻撃」です。
例えば10人の競争で報酬をもらえる1人が決まった時に、その答えが間違っているものとします。
普通の場合であれば、その答えは検証作業で弾かれるのが普通です。
しかし、悪意を持った参加者が51%以上の過半数を超えている場合、間違った答えを出したときの検証作業の際にもOKを出すことが出来ます。
このようにPoWの多数決で処理が行われる仕組みを悪用して、過半数の間違った可決を出すことで取引を自在にコントロールします。
通常であれば、この攻撃をするためには膨大なコストが必要になります。
例えば1000人が参加しているネットワークで悪さをしようとすれば、501人以上の処理能力を持った機材が必要になります。
これを行うには時価総額の高い通貨は数億~数千億円必要であり、個人で行うのは到底不可能です。
しかし、大企業の資本力や、複数のマイニングプール※が結託することでこれが可能になってしまうと言われています。
※マイニングを行う個人などをまとめている組織やサービス
これが2018年5月のビットコインのハッシュレート分布です。
どれもうまい具合にマイニングを行う権力を握っているマイニングプールがバラけている事がわかりますが、上位をよく見て下さい。
- BTC com:24.2%
- AntPool:17.7%
- SlushPool:12.7%
- BTC TOP:10.3%
- ViaBTC:8%
このように上位3つのマイニングプールだけでも54.6%のシェアを握っていることがわかります。
この3つが悪意を持って結託してしまった場合、ビットコインも51%攻撃を受けてしまう恐れがあります。
仮想通貨は取引処理が分散化されていて安全ということをよく耳にしますが、それを脅かす可能性も潜んでいるのです。
51%攻撃のメリットとデメリット
では51%攻撃をすることで犯人にどのようなメリットがあるのか、デメリットもあわせて解説します。
51%攻撃のメリット
- 他者の取引の妨害・キャンセル
- 自身の送金の改ざん・取り消し
- マイニング報酬の総取り
取引の承認の流れを全てコントロール出来てしまうので、取引の改ざんだけでなく、マイニングによって得られる報酬も全て奪う事ができるのです。
自身が外で払った取引もキャンセルすることが出来るので、実質万引きや残高の改ざんもできてしまうわけですね。
51%攻撃のデメリット
- 攻撃するためのコストがかかる
- 通貨の発行量は変更出来ない
- ウォレットのハッキングは出来ない
- 攻撃がバレたら通貨の価値は落ちる
あくまでも取引のコントロールだけなので、ウォレットにハッキングをしたり、通貨を奪うことは出来ません。
また、51%攻撃をしていることがバレてしまえば、その通貨は実質その犯行グループが権利を握っている事になります。
そのような通貨を欲しがる人はいないため価値は暴落します。需要が発生しなければ、その通貨に価値は付きません。
価値がなければ取引を改ざんしたり、外で決済するために導入されることもないでしょう。
そのため、51%攻撃を仕掛ける目的は一時的に取引を不正に操作して資金調達をしたり、その通貨の価値や信用を落とすために仕掛けている可能性もあります。
メリットと同じぐらいのデメリットが存在するため、犯人にも何かしらの思惑があってしているものと思われます。
51%攻撃のコストを調べる方法
ここまでで51%攻撃がどのようなものか、なんとなく恐ろしさはわかったと思います。
そこで「そんな攻撃されそうな通貨は持ちたくない!」という人のために、その攻撃コストを知るためのサイトがあるので紹介します。
こちらのサイトでは51%攻撃を1時間行うにはどれぐらいのコストが必要なのか、仮想通貨マイニングサービスの「Nicehash」の情報をもとに計算しています。
まず試しにビットコインを見てみましょう。
すると時価総額やハッシュレート情報の中に「Estimated cost of 1 hour 51% attack」というものがあります。
これが1時間あたりに必要なコストで、ビットコインの場合は611,283ドル(約6600万円)必要ということがわかります。
次にイーサリアムを見てみましょう。
こちらは386,025ドル(約4200万円)と、こちらも個人が攻撃するにはまだまだ高いことがわかりますね。
他の主要なアルトコインはこちらにまとめました。
- BCH(ビットコインキャッシュ):78,376ドル
- LTC(ライトコイン):61,886ドル
- XMR(モネロ):22,278ドル
- DASH(ダッシュ):13,701ドル
- ETC(イーサリアムクラシック):13,898ドル
- ZEC(ジーキャッシュ):54,645ドル
51%攻撃の被害を受けやすい通貨
時価総額の高い通貨で、攻撃コストの安い通貨をまとめてみました。
- BCN(バイトコイン):1,245ドル
- BTG(ビットコインゴールド):3,654ドル
- BTCP(ビットコインプライベート):980ドル
- MONA(モナコイン):3,668ドル
- GAME(GameCredits):350ドル
- UBQ(Ubiq):469ドル
- VTC(Vertcoin):1,178ドル
- PAC(パックコイン):110ドル
- EMC2(Einsteinium):52ドル
- MOON(ムーンコイン):6ドル
2018年5月時点の情報ですので、最新の情報はサイト上でご確認下さい。