子供の将来の教育費に備えて「学資保険」を検討している親御さんは多いと思います。
しかし、その選択はちょっとまってください。
先に断言すると、学資保険は絶対不要です。その理由は3つあります。
- 昔ほどの返戻率がないので旨味がない
- 元本割れのリスクがあり危険
- 満期日まで強制的に資金を動かせなくなる
これを見ても学資保険に入りたいと思いますか?
周囲や親からの勧めなどで学資保険の加入を考えている人は、その話に流されずに本当にいま学資保険に入るべきなのか?しっかりと現状を見た上で考えてください。
この記事では現在の学資保険の現状(メリット・デメリット)を踏まえて、資産運用の方がおすすめな理由も合わせて紹介していきます。
目次でサッと確認
学資保険が良かったのは昔の話
「学資保険は入ってよかった」と話すのは親世代や1990年以前に加入した人の話でしょう。
しかし、現在になって何も調べずに学資保険に入るのは情報弱者とみなされても仕方ないと言えます。
昔の学資保険は「100万円積立すれば満期日に150万円が戻ってくる+親の死亡時も保証」という優れた金融商品でした。
現在ではお金がそんなに増えて戻ってくることはまずありえません。
それに加え、学資保険の内情や数字を見ていくと「学資保険=良いもの」というのがただの幻であることが理解できるはずです。
学資保険のメリットとデメリットを比較した上で「なぜ学資保険が不要なのか?」を見ていきましょう。
学資保険のメリット
- 定期預金よりもリターンが多くなる可能性がある
- 契約者が亡くなった場合などに払込が免除される
- 強制徴収されるので無理やり積立出来る
メリット①:定期預金よりもリターンが多くなる可能性がある
学資保険に魅力を感じている人はこのリターンに期待して加入するケースが多いです。
定期預金は、一定期間お金が引き出せないかわりに高い金利(約0.1%)を受け取ることが出来る預金方法です。
学資保険の場合、この金利よりも高いリターンを受け取れる可能性があり、100万円を預けて110万円(+10%)が受け取れる場合もあります。
しかし、最近ではこのリターン(返戻率)が100%を下回る元本割れするリスクがあるため、安心はできません。
詳しくはデメリットの項目で解説します。
メリット②:契約者が亡くなった場合などに払込が免除される
仮に契約者が亡くなった場合や高度障害状態になってしまった場合は、残りの積立の支払いが免除されるメリットがあります。
例えば、200万円を積立する予定で、毎月少しずつ学資保険を払っていたとしましょう。
150万円まで積立をした段階で契約者である父親が死亡した場合、残りの50万円の支払いが免除されて、満期日に受け取りができます。
ここでよくある勘違いが、残りの50万円が保険会社に補填されると思いこんでいるケースです。
保険会社によっては、死亡した場合でも免除されないケースや満期日になるまで積み立てた資金が引き出せないなどのデメリットもあります。
メリット③:強制徴収されるので無理やり積立出来る
これは正直メリットかと言われると疑問ですが…。
学資保険は一度加入すると、口座から毎月規定の金額が強制的に引き落とされる仕組みになっています。
子供の将来に備えて学費を積み立てしたい方は、間違って別のことに使ってしまわないように学資保険に積み立てしておけば、将来しっかりとお金を残すことが出来ます。
しかし、学資保険は積み立てが完了する満期日になるまでお金を引き出すことは出来ません。
自制心や自分でお金が管理できる人にとっては、いざという時に自分の資産が拘束されている状況をあえて作るのはストレスになるかもしれません。
メリットを確認したところで、次にデメリットを確認していきましょう。
学資保険のデメリット
- 元本割れして積み立てしたお金がなくなる事も
- 満期日になるまで引き出す事ができない
- インフレが起きた場合に教育費不足になることも
デメリット①:元本割れして積み立てしたお金がなくなる事も
学資保険はリターンが必ず得られる積立投資ではないことはご存知でしたか?
私も調べてびっくりしたのですが、2021年4月時点の最新のデータでは平均の返戻率は105%というデータがあります。
(ちなみに、ソニー生命の学資保険が返戻率104~108%で一番高いです)
2017年からは各保険会社が保険料の値上げやマイナス金利の影響を受けて、加入者へのリターンは年々下がっています。
そして積み立てた資金よりも少ない金額しか戻ってこないという「元本割れ」のケースも発生しています。
返戻率105%を受け取ることが出来たとしても、これは100万円積み立てして105万円にしかならない計算です。
10年間積立を行って+5%のリターンなら、年率はたったの0.5%になります。
確かに、銀行の金利(0.01%)よりも高いというメリットはありますが、年率5~7%を実現出来る資産運用と比較するとパフォーマンスの低さは圧倒的です。(詳しくは後述)
デメリット②:満期日になるまで引き出す事ができない
学資保険は満期日になるとお金が戻ってくる仕組みで、中途解約など途中でお金を引き出すことは出来ません。
そのため、親の仕事がリストラや突然のトラブルでお金が必要になった場合も、積み立てたお金を引き出すことも出来ません。
一応、中途解約は可能なのですがその場合はペナルティとして7割ほどしか戻ってこないのでかなりの損失になります。
例えば、毎月3万円を3年かけて100万円まで貯金したとしても、70万円ほどしか戻ってこず、30万円分は丸々損してしまうことになります。
デメリット③:インフレが起きた場合に教育費不足になることも
学資保険は10年、18年という長期間の積立を行うので、満期日になるまで経済情勢が一変している可能性もあります。
物価が2倍になればお金の価値は半分になります。
例えば、100円の缶ジュースを100万円で買おうとすれば、1万本買うことが出来ますが、缶ジュースの価格が200円になれば、100万円で5000本しか買うことが出来ません。
これがインフレリスクの危険性で、満期日になるまでにお金の価値が暴落して積み立てた資金だけでは教育費が賄えなくなるというリスクがあります。
ちなみに、銀行預金に預けっぱなしにしたままでも同様のインフレリスクはあるので、学資保険に限らず注意すべきです。
学資保険を実際に利用した場合のシミュレーション
学資保険にどれだけのリスクがあるのか、実際に使用した場合のリターンをシミュレーションしてみましょう。
まずは「かんぽ生命保険」が提供している「学資保険-はじめのかんぽ」を以下の条件で見積もりしてみました。
- 被保険者(子供):男1歳
- 契約者:男28歳
- 満期日:男18歳(17年間毎月払い)
- 満期保険金:500万円
- 支払い金額:毎月31,850円/年382,200円
見積もり結果を見てみると、払込保険料総額が688万円に対して、満期の受け取り金額は650万円と38万円も元本割れしていることが分かります。
この時点で貯金するよりも損をするという結果が明白になっており、学資保険は全くお得ではありませんでした。
学資保険という安心感に騙されている
「学資保険」と聞くと”子供の将来のために必要な備え”というポジティブなイメージが付きものです。
では別の呼び方で「リターンのほぼない元本割れリスクのある中途解約出来ない積立預金」と聞くとどうでしょうか?
一気に加入しようという気持ちは薄れますよね。
学資保険という言葉のマジックの他にも、周囲の声に影響されやすく学資保険を信用しているケースは多く見られます。
- 仲のいい人や親が勧めているから
- 周りの人もたくさん加入しているから
- 銀行より良いと思いこんでいるから
どのケースもリスクや数字についてよく理解せずに流されて加入する人ばかりです。
既に加入している人に相談しても、具体的に数字を挙げて学資保険のメリットを説明出来る人はいないでしょう。
自分のお金を預ける先として「なんとなく」で決める行為は自分の首を絞めるだけです。
学資保険というブランドに騙されずに冷静な判断を出来る人こそ、将来お金持ちになるマネーリテラシーが高い人と言えるでしょう。
学資保険よりも資産運用のリターンの方が大きい
学資保険を選ぶよりも、賢い人は「資産運用」を選びます。
資産運用の方がリターンが高く、自身で投資先を選んでリスク管理が出来るので、蓋を開けてみて返戻率の少なさにショック…という事もありません。
それに、学資保険は10年~18年という長期間投資してもリターンは平均で105%という返戻率の低さは驚きです。
資産運用の場合は年率(1年)で5~7%のリターンを得ることも出来るので、1年で学資保険のパフォーマンスを超える可能性もあります。
学資保険よりも資産運用の比較
学資保険と資産運用を比較するとこのようになります。
学資保険 | 資産運用 | |
---|---|---|
リターン | 約0.5%/年 | 5~7%/年 |
100万円を 1年運用すると |
100.5万円 | 105~107万円 |
リスク | 元本割れあり | 元本割れあり 自分で対策可能 |
積み立て | 強制 | 自由 |
運用期間 | 10年~18年 | 自由 |
中途解約 | 不可 | 可能※ |
※サービスによっては不可能な場合あり
資産運用も学資保険も同じく元本割れのリスクがあるなら、自分でリスク管理が出来る「資産運用」の方が圧倒的におすすめですよね。
学資保険の場合は積み立ても強制なので、家計が苦しい時期でも毎月お金が引き下ろされるのでとてもストレスに感じるでしょう。
資産運用の場合は自分でどれだけ入金するか?今月はピンチだから入金はやめようといった加減を調整出来ます。
資産運用のハードルはどんどん低くなっている
資産運用や投資という言葉を聞くと「何となく難しそう…」と気構える方は多いと思います。
しかし、現在では投資初心者でも入金と少しの設定だけで自動的にプロにおまかせして投資できるサービスが充実しています。
わざわざ投資の勉強をしたり、時間を使わなくても資産運用が出来る便利な時代になっています。
そして、まとまったお金がなくても最低1円から投資出来る「Funds(ファンズ)」のようなサービスもあるので安心してくださいね。
学資保険の営業マンにだまされないように
それでも「学資保険には何かメリットがあるかもしれない!」と思いこんでいる方は、遅かれ早かれ営業マンに騙されるでしょう。
加入を決めた理由の多くに「保険会社の営業マンに勧められたから」というものもありますが、大体の場合は営業テクニックに騙されている場合が多いです。
営業マンは言葉巧みに感情に訴えたり、さも数字が凄いような印象を与えるトーク術を使います。
保険会社の営業マンもよく使うフレーズだと、
- 「お子さんのために…」
- 「将来の不安に備えて…」
- 「皆さんも利用しており…」
- 「預金の10倍以上のパフォーマンスを…」
といった甘い言葉に流されずに、本当にどのようなリスクがあるのか?もっとリターンのいい投資先があるんじゃないのか?という疑問を持ちましょう。
営業マンは学資保険よりもパフォーマンスの悪い銀行預金などを引き合いに出すケースが多く、もっとパフォーマンスの高い資産運用については全く触れません。
逆の立場で考えれば、売りたい商品よりも優れた商品の説明はわざわざしませんよね?
資産運用をしたことのない方は、比較対象がないので営業テクニックに騙されてしまうのです。
この話は学資保険に限らず、銀行の投資信託、外貨預金、定期預金などにも当てはまりますが、これらは全て失敗の選択肢なのです。
学資保険で失敗した・無駄だったという評判も多数
もしも10年前の自分にアドバイスできるとしたら
🔵ネットバンクを作る
🔵投資をはじめる
🔵奨学金を繰り上げして報奨金をもらう❌変な総合保険に入らない
❌学資保険に入らない
❌家財保険は大家さんのオススメに入らない失敗したのは保険ばかり。10年後の自分に怒られないように今を頑張ります。
— 守銭道@節約&投資家 (@shusendo_info) September 10, 2018
生命保険は安いのには変えたけど、ビビってしまい解約はできなかったな〜。
学資保険もホント失敗だったなと思う。 https://t.co/PV7BJveJOL— 13(じゅうぞう)@ぬぬぬ (@Juzo1226) July 11, 2018
貯蓄型生保って途中解約の手数料が高いし本当にメリットない。年額30万を3年払い込んで解約しようとした時に、返戻金は80万弱だった悲しい記憶が、、、学資保険も兼ねて15年満喫の短期商品選んだのもあるけど失敗だと思ってる。マネーリテラシー大事 https://t.co/V1V19fD0p9
— 緒方 崇仁 (@twun2) August 24, 2017
皆大好き学資保険は一番最初に解約すべき無駄なもののひとつ。まず本人死亡時に残された子供の養育費は生保で賄えば良いだけ。遺族年金でも公立の学費くらいは余裕で賄える。毎月の支払いを貯蓄に回して保守的に運用した方が遥かにマシ。
— DON (@D0N12345) January 12, 2019
生まれたばかりの子はよく風邪もひくし親も不安が大きいからリスクを過大に捉えてしまうんだけど、確率的には子供は最も死ににくいし万一死んでもお金なんか要らんし医療費は補助が多いから入院しても何とかなるし親に何かあった時の心配は自分が生命保険に入ればいいんだし学資保険ってマジで無駄。
— 精神科薬剤師くわばらひでのり (@89089314) May 4, 2018
賢い人は資産運用を始めるべき
学資保険に加入しようか迷っている人は、そのお金をぜひ資産運用に回してください。
最期にもう一度、学資保険よりも資産運用が優れている要点をまとめてみました。
- 学資保険は元本割れのリスクあり
- 学資保険は10~18年間中途解約不可
- 資産運用の期待リターンは学資保険の10倍以上
「みんなが加入しているから」という理由で選ぶのではなく、きちんと数字を比較した上でどちらが優れた選択肢なのか考えましょう。
お金の使い道は自己責任です。
一度、学資保険に加入してしまうと後で後悔しても中途解約は出来ません。
投資初心者でも運用が出来るローリスクな資産運用サービスを選んで、今日から資産運用をはじめてくださいね!