確定申告の時期が近づいてくると、「仮想通貨の税金を払いたくない」と考える方も増えてきます。
そんな方の中には「データだからバレないはず」「間に合わないから諦めよう」と悪いことを頭の中で考えている方もいるかも知れません。
しかし、仮想通貨こそ実物のお金よりも足がつきやすく、あなたがどれぐらいの資産を持っているか全て取引所経由でバレてしまいます。
今回は「なぜ仮想通貨の脱税・無申告がバレてしまうのか」その理由や脱税・無申告してしまった場合のペナルティなどをいくつか紹介します。
仮想通貨の税金の仕組みについて1から学びたい方はこちらを参考にしてください。
目次でサッと確認
仮想通貨の脱税(無申告)が絶対にバレる理由
仮想通貨の脱税(無申告)がバレる理由は主に4つ挙げられます。
- 取引所の取引履歴からバレる
- ブロックチェーンの取引情報からバレる
- 金遣いの変化からバレる
- SNSの投稿からバレる
それぞれ詳しく解説していきます。
1.取引所の取引履歴からバレる
利益が出ているのにもかかわらず無申告でいれば、税務署から調査が入り、取引所に対して個人情報の提出・照会を求めます。
国内取引所の場合は個人情報やマイナンバーと紐付いているため、取引記録は税務当局から情報公開の要望を出されれば全て取引情報を提出します。
取引や出金の記録は全て取引所に記載されているので、全てデータとして残っています。
特に取引所の取引履歴はブロックチェーン情報の調査も不要なので簡単に摘発する事が出来ます。
2.ブロックチェーンの取引情報からバレる
仮想通貨の取引記録は全てブロックチェーン上に書き込まれており、その取引内容や日時などが永久的に記録される透明性の高さが大きなメリットとなります。
そのため、取引履歴(トランザクション)が誰でも閲覧することが可能になっており、あなたのウォレットにどれ位の仮想通貨残高があるのか誰でも知ることが出来ます。
そのため、特別な知識がなくても簡単にあなたの収益を追うことが出来ます。
「匿名通貨であればバレないだろう」と考えている方もいるかも知れませんが、取引履歴や海外取引所への送金・取引記録を探ればすぐに分かってしまいます。
税金逃れのために利益を隠す手段に匿名通貨を使っている場合、「悪質な脱税」と認定されてしまう可能性があるのでやめておきましょう。
3.金遣いの変化からバレる
仮想通貨が今まで手にしたことのないようなお金が手に入ったら、それまで買えなかったような高価なものを買いたいと思うのは自然なことですよね。
主な収入が給与所得しか無いはずの人が、突然家や車など高いものを次々に買っていれば、銀行の出金記録から目をつけられる可能性があります。
普段よりも羽振りのいい買い物ばかり急にし始めたら、「どこかに収入源があるはず」とすぐに調査されてしまうでしょう。
4.SNSの投稿からバレる
仮想通貨で一気に稼いでしまうと、つい自慢してしまいたくなるのが人間の心理です。
TwitterなどのSNSに、どれぐらい稼いだのか分かるような損益グラフなどを載せていれば仮想通貨投資で成功しているのがひと目で分かります。
嘘の情報でも「1年で1億増やしました」など書いていてフォロワーを集めていれば、お金を持っているインフルエンサーとして調査対象となる可能性があります。
どんな方法でも脱税が出来る可能性はゼロ
このように、無申告や脱税を計画している人はあらゆる方法で絶対にバレるのでやめておいたほうがいいでしょう。
普通に考えれば、バレない可能性よりも「バレるリスク」のほうが圧倒的に高いです。
過去には事故を起こし「慰謝料を支払うことが出来ない」と主張していた男性が取引所に仮想通貨を隠し持っていたとして、差し押さえ・徴収されたというニュースもありました。
仮想通貨はすべて税務署・取引所に把握されているものとして認識しておいたほうがいいでしょう。
脱税(無申告)がバレた場合のペナルティ
申告をせずに脱税がバレてしまった場合、もちろんペナルティはあります。
それは大きく分けて2種類あります。
- 追加で税金が取られてしまう
- 逮捕されてしまう可能性がある
それぞれ詳しく解説していきます。
1.追加で税金が取られてしまう
「無申告加算税」という追加の課税がされるだけでなく申告期間外だった場合「延滞税※」も追加されてしまいます。
過少申告をして本来納めるべき税額よりも低い金額を納めた場合「重加算税」が課される場合もあります。
無申告加算税は、本来納付すべき金額に対して50万円までは15%、50万円以上は20%分を追加して納税する義務が発生します。
(※延滞税は本来納付する期間(3月頃)から半年後(9月)に納付した場合は約8万円かかる。)
では実際に税率表を見ながらどれ位の税金がかかるのか計算してみましょう。
1000万円の仮想通貨の利益(雑所得)を無申告した場合
- 本来納めるべき税額
(1000万円ー1,536,000円)×33%=約279万円 - 無申告の場合
50万円までの分:50万円×15%=7.5万円
50万円以上の分:(約279万円ー50万円)×20%=45.8万円 - 延滞税の金額:約8万円
- 無申告+延滞した場合の合計税額
297万円+7.5万円+45.8万円+8万円=340.3万円 - 追加で納付した金額:約340万円ー約279万円=61万円
このように、無申告の場合は「61万円」も無駄に多く税金を取られてしまうわけです。
(厳密には会社勤めの場合給料からの源泉徴収や復興税などがかかるため実際の数字とは異なる場合があります)
2.逮捕されてしまう可能性がある
悪質な脱税だと認められた場合、500万円以下の罰金か5年以下の懲役を受ける可能性があります。
悪質な脱税とは、最初から無申告することを見越して動いていることが明確な場合や、脱税のために隠蔽行動をしている場合は調査の結果逮捕される可能性もあります。
いわゆる「隠したり」「でっちあげ」のように騙そうとしている様子が伺える場合は悪質ですね。
しかし、余程のことがなければ逮捕までされることは基本ありません。
ただの節税対策は問題ありませんし、単純に申告忘れしているケースは税務署の連絡に応じて追加で税金を支払えば問題ありません。
取引記録が場合、税理士に泣きつくしか無い
稼いだ利益をそのままにしていれば払える金額かもしれませんが、本来払わなくても良かったはずの税金を払うのはとても馬鹿らしいですよね?
それに、この金額は単に納めればいいだけでなく、きちんと自分がどのような取引を行って稼いだお金なのか証明するために取引記録を付け直さなくてはなりません。
もし自力でできない場合は、税理士などに頼んでやって貰う必要があるので追加で10万円ほどの出費が発生する可能性もあります。
このような最悪の事態にならないためにも、普段からきちんと取引記録をつけておきましょう。
稼いでいる人ほどすぐバレます
2017年には仮想通貨の利益で億万長者になったいわゆる「億り人」が100名以上誕生したことで、国税庁も仮想通貨の申告漏れには目を光らせています。
その理由は2つ。1つ目は仮想通貨の利益は今まで確定申告と縁がなかった人が多く、知らないうちに無申告となっているケースが多いため。
2つ目は「徴収できる税金が多いから」です。仮想通貨は雑所得に区分されているため、税率がとても高く、国を回していくための税金を多く徴収できる可能性があります。
無申告の調査には税務署の人を動かすコストもあるので、元を取らなければなりません。
そうなれば、稼いでいる人ほど血眼になって探してたくさんの税金を徴収できるように国税庁も動くわけですね。
稼いでいる人は遅かれ早かれ、税務署から連絡が来るのは時間の問題なので潔く納税したほうが良いでしょう。
仮想通貨の税金についてよくある質問
Q.確定申告の準備で必要なものは?
確定申告を行うには「確定申告書」を作成する必要があります。
「確定申告書」は前年度の雑所得などの損益計算を行って、通年でどれぐらいの利益を出したのか?という計算をまとめた書類になります。
ですので、前年度の損益計算をするために利用した取引所から取引履歴・入出金履歴などをダウンロードして計算する必要があります。
必要な取引履歴・入出金履歴はこちらの記事で紹介しています。
早めの確定申告の準備を心がけて、ギリギリで慌てないようにしましょう!
Q.未成年・学生でも税金を払う必要はある?
払う必要があります。未成年や学生でも大人と同じように雑所得で収入を得ている場合は、同じように納税の義務が発生します。
子供だからといって普段の買い物で消費税が免税されることはありませんよね?それと同じです。
Q.海外に移住しても税金はかかる?
かかる場合があります。これは幣制年度の税制改正で導入された「国外転出時課税制度」にあたる可能性があり、国内の資金が海外に流出するリスク対策で制定されました、
この課税制度は「平成年7月1日以降に国外転出(海外移住)した時点で1億円以上の資産を保有している場合、その資産の含み益に税金を課税する」としています。
つまり、1億円以上の資産を持っていなければ基本的に無関係です。
また仮想通貨が資産を認められるかどうかは現在の税制でも曖昧な部分があるため、移住を検討している方は予め税務署などで相談しておきましょう。
Q.盗難されても税金はかかる?
仮想通貨の盗難やハッキングにあってしまい、傷心中の方には大変残念ですが、これもかかってしまいます。
取引所側の問題で資金流出などが度々起きており、「稼いだお金をすべて持っていかれてしまった」という方も少なくありません。
しかし、盗難されたとしても利益が出ていれば、その金額に対して課税されるため納税の義務が発生します。
「こっちは資産も失ってるのに税金も払わないといけないの?」と怒りたくなる気持ちもありますが、仮想通貨取引はそういった盗難リスクも踏まえて運用する必要があります。
現状、盗難に対して国から保証や納税の免除といったものは一切ないので注意しましょう。
Q.自己破産で税金を踏み倒す事はできる?
自己破産で納税は免除されません。自己破産によって帳消しになるのは、お金を借りている「ローン」や「借金」を返せなくなってしまった場合のみです。
税金は納税の義務があるため、そもそも借金とは性質が異なるため債務整理で解決することは出来ません。
もし支払いに必要なお金を全て仮想通貨で失っている場合、税金を収めるお金がない場合「延滞税」が発生しますが、仕事などで地道に返せる場合は大きな問題にはなりません。
その後、税務署から督促状が送付され、指定された期限までに支払いが行えるように準備をしましょう。
指定された期限を過ぎても返答や支払いをせずに滞納していると、最悪の場合資産の差し押さえがされ、預金口座、車屋バイク、生命保険などが税金の支払いに充てられます。
もちろん誠実に納税する意思があると認められた場合、税金を支払うと生活が困難になると認められた場合は「納税の猶予」が与えられるので安心してください。
仮想通貨の取引記録はちゃんと付けよう
仮想通貨の脱税をした場合のリスクについて理解できましたか?
仮想通貨の税金は雑所得という区分になるので、税金が高く納税額を見てげんなりするかも知れませんが、追加の課税がされるリスクを考えれば普段からちゃんと取引を記録して確定申告に行くべきです。
取引記録を付け忘れてた!という方も「税金計算ツール」を使えばあっという間に計算することも出来るのでぜひ検討してみてください。
完全におまかせしたい場合は、プロの税理士に相談するか、忙しくなる確定申告期間前に税務署に相談してくださいね。
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